浜の湯のデザートは、ただ甘いだけのものではありません。
旅の余韻をやさしく包み込み、特別なひとときをより豊かにするーー
そんな想いを込めて、ひと皿ひと皿おつくりしています。
デザートだけを召し上がるのであれば、しっかりと甘さを感じるものも魅力的だと思います。でも旅館のデザートは、会席料理という一つの流れの中でお楽しみいただく最後のひと皿です。だからこそ、「甘かった」という印象だけで終わるのではなく、お料理全体の余韻を心地よく締めくくる味わいを大切にしています。
食べやすい甘さに整えながら、その季節ならではの素材が持つ風味を引き立てること。最後までおいしかったと思っていただけるよう、全体のバランスを意識しています。
浜の湯には、お料理を楽しみにお越しくださるお客様がたくさんいらっしゃいます。だからデザートも、料理と別の存在ではなく、その想いを受け継ぐひと皿でありたいと思っています。自然に囲まれたこの土地だからこそ感じられる季節の移ろい。その時季ならではの味覚を活かしながら、素材本来のおいしさを楽しんでいただきたい。
料理人がひと皿ひと皿に想いを込めるように、デザートもまた、お料理と同じ気持ちでおつくりしています。
私にとっては、一日に何十皿、何百皿とお作りするデザートかもしれません。でも、お客様にとっては、そのひと皿は「自分のために用意されたデザート」です。だからこそ、決して流れ作業にはしたくありません。どんなに忙しい日でも、お一人おひとりに「おいしかった」と感じていただけるひと皿をお届けしたい。その気持ちは、毎日変わることなく持ち続けています。
通常のコースデザートも、仕上げはスタッフに手伝ってもらうことがありますが、本体の仕込みはすべて自分一人で担当しています。
最後まで責任を持ってつくり上げることも、大切にしているこだわりの一つです。
浜の湯では、お誕生日や結婚記念日、ご長寿のお祝いなど、人生の節目となる大切な一日を過ごされるお客様が数多くいらっしゃいます。そんな日にご注文いただくケーキを担当できることは、パティシエとして本当にやりがいを感じる瞬間です。館内でおつくりするからこそ、フルーツのみずみずしさや出来立てのおいしさをそのままお届けできる。
メッセージプレートも、素材選びも、仕上がりも、「このケーキにして良かった」と思っていただけるものをお出ししたいという気持ちで、一台一台丁寧に向き合っています。
私の生まれは群馬県で、これまで関東の個人店で長くお菓子づくりに携わってきました。そんな中で惹かれたのが「旅館でしかできないデザートづくり」でした。記念日やご旅行という特別な時間の中で、お客様が料理を楽しみ、最後にデザートを味わい、思い出として持ち帰ってくださる。そんな一連の時間に寄り添えることは、旅館だからこその魅力だと思っています。
実は転職活動を始めるまで、浜の湯や稲取という土地をほとんど知りませんでした。ですが宿のことを調べ、スタッフの皆さんとお話を重ねる中で、お客様への向き合い方やおもてなしに対する考え方が、自分の想いと重なることに気付きました。
「ここなら、自分がやりたかったことを実現できる。」
そう思えたことが、浜の湯で働くことを決めた一番の理由です。
もちろん、一日に仕込む量は以前とは比べものになりません。大量のデザートづくりやオペレーションなど、考えなければならないことも数多くあります。それでも、お客様がお喜びだったとスタッフから伺うたびに、この仕事を選んで良かったと心から思います。
まだ挑戦したいことはたくさんあります。デザートを通して「また食べたい」、そして「また浜の湯へ来たい」と思っていただけること。そのひと皿を積み重ねていくことが、私の目標です。
会席料理の締めくくりだからこそ、甘さだけが印象に残るのではなく、お食事全体を美しく結ぶ味わいを目指しています。
記念日にご用意するケーキは館内で丁寧に仕上げることで、新鮮なフルーツやクリームのおいしさをそのままお届けしています。
ホールケーキには乳脂肪100%の生クリームを使用。できる限り添加物を控え、小さなお子様にも安心して召し上がっていただける素材選びを心掛けています。